2012年8月24日金曜日

2012 W.G.C. Solar & FC Car Rallyeに参戦しました

 2012 W.G.C. Solar & FC Car Rallyeに参戦しました

※本来学校のホームページにアップする内容の記事ですが、学校サーバーのメンテナンスの関係上更新ができないので、一時的にブログの方に記載します。

7月29日~31日まで秋田の大潟村ソーラースポーツラインにて行われた3日間のレースに参戦しました。

ソーラースポーツラインとは、1周が25kmの直線が主な細長い形のコースで、世界唯一のソーラーカー専用の周回コースです。今年度は大会が20周年記念ということで、歴代のソーラーカーの展示が行われたり、ソーラーカーバイシクルもレースに同日参加しました。大会の形式は3日間で5時間,11時間,8時間の合計24時間で行われた耐久レースに加えて、各日ごとに前日までに申請する周回数とタイムとの実際の走行と差を競うグリーンラリーも行われました。


今年度はソーラーカーの"電装システムの構成"と"計測システム"を一新して大会に望みました。
 

 従来はパネルから車体に配線がぶら下がるように設置されていたものを主要部分の配電と、計測器や灯火類などに使う12V系を一つにまとめたユニットにしました。

ユニット化したことにより容易に車体から電装系ユニットを取り外せる事ができるようにしました。
これにより、充電時の配線長の短縮による損失の低減と、車体メンテナンスをしやすくするねらいがあります。



 ドライバーは吉田(5EE)、赤坂(5EE)、佐藤(4ME)、斉藤先生の4人でレースに挑戦します。
これまでに何年も運転してきた専攻科の先輩が卒業してしまったので、運転経験があるドライバーは吉田と斉藤先生のみです。


7月27日【会場到着】

 夜になって宿泊所の最寄駅に到着し、その足ですぐに会場に向かいました。 トラックから必要な荷物を降ろしてピットを設営し、ソーラーカーの作業に取り掛かります。主に行う作業は電装系で、ユニットごとに配線を完了させてきたので計測器を組み込むとともに車両に搭載する作業を進めます。

各部をテスターで点検して緊張しながら電源投入をするものの、12V系に不具合が発生し、モータも回転しないことが発覚しました。この日は夜を徹して問題解決のために作業を続行しました。


7月28日【入村手続・車両整備・車検】

  夜が明けても問題が解決できませんでした。眠い目をこすりながら配線図と実物とを繰り返し見比べます。モータが回転しない問題については操作信号系のコネクタへの配線ミスが判明。信号系を集合しているターミナルユニット内で配線を間違えていることが原因でした。

車検については電源を入れて自走する必要がある項目以外はチェックを受けて仮合格をもらいました。夜には下級生が中心の後発隊と合流し、レースに向けたピットでの生活環境の準備をはじめました。担当者は引き続きピットに泊まり込みで作業を続行します。


7月29日【レース1日目(14:00~19:00)】

 徹夜で作業したものの12V系の問題が解決しないままレース日を迎えることになってしまいました。昨日未検査だった箇所の車検は早朝に自走でのブレーキテストを受け、車検合格をもらいました。

 第一ドライバーは運転経験のある吉田で、 車両の走行能力の確認をするためにまずは
無理をせずで1周のみ周回しました。

走行した結果、機械部分については特に問題はなく、電装系の問題さえ解決すれば問題なく全力の走行が可能であることが確認できました。

2周目に入るところでピットインし、電装システムを車両から取り外してテスターを手に原因究明に取り組みました。結果、DCDCコンバータの固定方法による漏電と、入力部の回路構成に問題点があることが分かり、すぐさま対策をして解決することができました。 しかしこの時点でかなりの時間を浪費してしまっていたので、この日はドライバーの練習日と割り切ることに決めて、今年が初運転となる赤坂がドライバーとして乗り込みました。

 再スタートしてシステム全体が機能して走行ができることを確認することができたものの、今度はブレーキランプが付きっぱなしになってしまうという問題が発生しました。マーシャルに指摘される前に自発的にピットインして問題の確認作業を再開しました。
灯火系の配線をシャーシ側とカウル側を必死に追いかけているうちに、モータの時と同じ信号系集合部での配線ミスであることが判明しました。残念ながらこれを対策するうちに走行時間が終了してしまいました。少しでも多く走らせられればと思いましたが、2日目からは完全な状態で走行することができるように念には念を入れた確認・修復作業に徹しました。

システムをくみ上げて全体を機能させることを難しさ、特に初歩的なミスが結果として全体のシステムを動かすことができない事態を招くということを実体験し、非常に悔しい思いをした一日でした。


7月30日【レース2日目(8:00~19:00)】

 2日目は電装系の問題も全て解決し、遅ればせながらもレースをする体制が整いました。機械系、電装系の状態を確認するため、第一ドライバーは斉藤先生。太陽電池による発電量の様子を見ながら32分台でラップを繰り返します。
 機械系・電装系ともに快調であることが確認でき、第二ドライバーとして赤坂が乗車しました。初めての運転で戸惑いながらもほぼ走行計画通りの32~34分で走行することができました。 天候も晴れており発電も良好なことにより、速度を下げずに走行できました。この走行速度だと、バッテリからの持ち出し電力を事前に測定した放電特性と同条件にすることができ計画通りにレースを展開することができます。
 赤坂が5周したところでドライバーチェンジしました。第三ドライバーは初走行の佐藤です。初走行なので慎重に運転します。とにかく運転に慣れることを優先してラップタイムも抑え気味の39分台で走行しました。走行計画よりも若干遅れてきていますが、バッテリの残量は十分に温存できています。

 第四ドライバーは吉田です。この時点で先行するチームとの周回差は1周遅れていますが、無理にペースを上げても消費エネルギーが増えるだけなので40分台にまでペースを下げて走行を続けます。今日中に先行チームと同周回になるために、次の周回に入ることができなくなる18時直前に滑り込みで次の周回に入ることができ、追加で"+1周"をすることができました。


 
 ドライバーは連続3時間以上の運転が認められていないので、最終ラップは再びドライバーチェンジをして斉藤先生が乗車。 エネルギー消費を最小に抑え、1周だけ周回して戻ってきました。戻ってくるころには太陽はほぼ沈んでいたために夕方は充電せずにこの日の走行を終了しました。


 1日目を走行できなかったハンディはまだありますがその分バッテリの残量があります。なんとか先行するチームと同一周回になることができましたが、オーバータイムポイントによって順位は下なので最終日にはペースを上げて一周以上早く走る必要がありました。


7月31日【レース3日目(8:00~19:00)】

 最終日ということでバッテリ残量を全て使いきって順位を一つでもあげたいところです。そのためには朝の充電も重要なので、5時前の段階で充電準備を完了して一分一秒を惜しんで充電しました。その甲斐あって、スタートの時点では7割程度から8割程度にまで残量を戻すことができました。

 午前中は予想外な事に他チームのラップタイムが伸びない中、 とにかく先行チームを追い抜いて周回遅れにするために手堅く32分台で走行しました。結果、ドライバーチェンジ直前の5周目の最後にようやく先行チームを追い抜くことができピットイン。ピットイン作業でのタイムロスも最小限に抑え、第二ドライバーの赤坂がスタート。この時点で順位は入れ替わっており、抜かれさえしなければ順位は勝っています。周囲のチームのペースも上がってこない状況なのでここでペースを抑えて後半戦に備えました。
 2日目に比べて発電量が少ないなかでもドライバーが無駄のない走りに専念してくれたおかげでバッテリ残量も温存することができました。残り3時間の時点でゴールまでの予想発電量とバッテリ残量から試算した結果、これまでよりも4分近く早いタイムで走行が可能であると確信がありました。なので、最終ドライバーの吉田はこれまで温存してきたエネルギーを全て使い尽くしてゴールすようにペースを上げて走行しました。なかには、ファステストラップに3秒及ばないものの26分55秒で周回することもできました。

最終周では時間を調整をし、申告タイムに"+3.882秒"でゴールラインを通過。終わってみればこの日の全チームの中で最多周回数の14周を走ることができました。

3日間の合計周回数はを含め32周※、総合順位6位、アドベンチャークラスで3位、3日目のグリーンラリー部門では優勝という結果を収めることができました。

※実際は33周ですが、出場したアドベンチャークラスではクラス間での性能差調整のため規程により実際の周回から-1周されることになっています。

 今回の大会を終えて、不安だらけのスタートだったので無事に走り切れて安堵しましたが、それ以上に大会以前にソーラーカーを完成させて十分な準備をすることができなかった事に悔しさを感じています。特に同クラスの2位のチームとのラップ差は2周で、もし1日目に走行できていたかと考えると1日目のロスが悔やまれます。 また、メンバーの時間に関する危機感の低さなど、以前から指摘されていた個所が大会の1日目の大きなロスとして現れたようにも思います。作業以外にも課題は再確認できたように思います。

これからは太陽電池の発電量が初期性能から2割以上も落ちてきていることからどこまで周回数を伸ばすことができるかはわかりませんが、今後も少しでも成績を伸ばしていきたいと思います。また、チーム運営の年間を通しての活動方法も見直して組織力を高めていきたいと思います。

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