2012年7月16日月曜日

Li-ionバッテリについて

前回の記事で、バッテリについてのおおざっぱなお話をさせていただきました。
今回は、Li-ionバッテリにまとを絞って記事を書かせていただきます。

"Li-ion"バッテリについて




ソーラーカーのバッテリは、充放電を繰り返しますから、
単三電池のような再充電不可能な一次電池は使えません。
なので、充電可能な二次電池を用います。

二次電池には、

・"Ni-MH"(エネループなど)
・"Ni-Cd"(ちょっと前のラジコンや電動工具)
・"鉛バッテリ"(ガソリン車やバイク)
・"Li-ion"(ノートパソコンや携帯電話)

などの種類がありますが、
本校では"Li-ionバッテリ"を使用しています。

このLi-ionバッテリというのは、身近なところではノートパソコンや携帯電話に使用されています。

ノートPCのバッテリパックの中には18650型のセルが直並列になっている。


他の二次電池と比べながらLi-ionバッテリがソーラーカーに適している理由を説明します。


まず、Ni-MHやNi-Cdは、完全に空になってないのに充電すると一時的にバッテリ蓄電容量が低下してしまう「メモリー効果」が発生します。

「メモリー効果」は、鉛バッテリやLi-ionバッテリにはありません。

ということは、充放電を繰り返すソーラーカーには、メモリー効果」を生じない鉛バッテリやLi-ionが適していると言うことが分かります。


次に、Li-ionの特徴として他の二次電池に比べ軽くて、蓄電容量が大きいということがあります。
この点、鉛バッテリは凄く重いバッテリです。

ここで、軽いLi-ionバッテリを選択すれば、バッテリを運ぶためのエネルギーが小さくすみます。
F1カーは、軽くするために必要最低限のガソリンしか入れませんよね?



これで、Li-ionバッテリがソーラーカーに適したバッテリだということがおわかりいただけましたでしょうか?



ちなみに、本校が世界で初めてLi-ionバッテリをソーラーカーに採用しました。
サレジオ高専が"育英高専"という学校名の時代です。
ソーラーカー"IKUEI NEOⅡ"がオーストラリアのソーラーカーレースWSC'96にて、Li-ionバッテリを採用し、完走。
2人乗りクラスにて3位入賞をしました。





いいことばかりのLi-ionバッテリかと思ったら、慎重に使わなければいけないバッテリでもあります。

Li-ionバッテリは、きまった電圧の範囲内でしか使用できません。
本校で使用しているLi-ionバッテリでは、
4.2[V]以上の充電しすぎ(過充電)な状態では、爆発の危険性があり、
3.0[V]以下のつかいすぎ(過放電)な状態では、故障・急激な劣化の可能性があります。




バッテリユニットをつくるには、
セルを直列接続にしてモータを動かすのに必要な電圧にして、
セルを並列接続にして蓄電容量を得ます。


これらを構成するセルは、個々の特性(直流内部抵抗)を調べてから、
似たもの同士を組み合わせます。


特性を揃えないと、
直列接続では、過充電・過放電になるセルがでてきたり、
並列接続では、セルに流れる電流に偏りが発生し、電流が集中したセルが故障したりします。



これらの計測などについては、また別の記事でご紹介します。



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読みにくい点、疑問点などはお気軽にコメント欄へよろしくお願いします。

3EE 浅野

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